幸せの香りをあなたに

火打ち袋の香袋

日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の火打ち袋

 袋物の歴史をさかのぼっていくと、「古事記」の中にすでに登場していますのでご紹介しましょう。
 後継争いから、大和の国の帝である父と義母を殺そうと計画した兄を誤って殺してしまったヤマトタケルノミコトは、事情を知らない父の激怒にふれ東国征伐の命をうけてしまいます。
 大和の国に従わない僻地へと一人で征伐に赴くことは、死罪にも等しい仕打ちでした。
 兄の名誉を守るため罪をすべて引き受けたヤマトタケルは、愛する父への思慕が深かっただけに、このむごい扱いを深く嘆きます。
 彼の悲しみを知った叔母の倭姫(ヤマトヒメ)は、苛酷な旅へとむかうヤマトタケルを慰め、伊勢の神宝である剣とある袋を与えるのでした。


 旅立った敵地で、言葉たくみに誘い出されたヤマトタケルは、草原で火責めにあい窮地にたたされます。
 そこで、叔母より授かった剣を抜いて周りの草を刈り、剣の根元に結んでおいた袋から火打石を取り出して新たな火をおこし、敵の火勢を押し返して難を逃れるのでした。
 この一件から、ヤマトタケルの剣は“草薙の剣”と呼ばれることになるのですが、この剣と火打ち袋を手渡されたおかげで、彼は命を永らえることができたのです。
 この「古事記」の物語にあやかり、戦国時代の戦に旅立つ武士達は、お守りとして必ず家伝の火打ち袋を携えていったと伝えられます。
 出かける主人に火打石を打って送り出す場面を時代劇などでご覧になったことがあるとおもいますが、この習慣も古代の神話の名残なのです。

名古屋市の「熱田神宮」
←「幸せの香りをあなたに」トップへ戻る
↑このページの一番上へ