幸せの香りをあなたに

仄暗さの中の美しさ『陰翳礼讃』

漆器のこと・・・

『陰翳礼讃』谷崎潤一郎著 1933年(昭和8年)より

 食卓に並べられたひと椀の吸い物を手にしたとき、このように深く洞察して口に含む人はいないでしょう。
 しかし、この文章に出会ったからには意識してみてください。
 手の平にほんのりと暖かい漆器の温もりは、人肌のようにも感じられ、なによりも安心感を抱くことでしょう。
 また、立ち上ってくる美味しそうなお出しの香りは鼻腔を刺激し、唇が触れる木肌の優しい口当たりは、心と身体を無防備にほぐしていることに気づきます。
 陶器とも焼き物とも違う漆器の素晴らしさは、アジアで育まれ日本人の生活に溶け込んでいきました。
 ヨーロッパで漆器のことをジャパンと呼ぶように、日本を代表するこの工芸品の良さをここで再確認することでしょう。
 また谷崎は、漆器に施された金蒔絵が闇に浮かび上がる美しさをあげ、

『陰翳礼讃』谷崎潤一郎著 1933年(昭和8年)より


と説き、さらに日本の美の本質へとせまっていきます。
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