

インドでは、キャラコ(インド木綿)や更紗など肌触り良く吸収性に優れた布や、細かく美しい手仕事の刺繍織物製品が多数作られました。
1820年、ヨーロッパにインドのカシミヤ製ショールが渡り、大きな人気を博します。その流行に乗るようにビィクトリア朝時代の英国では、オリエンタルムード漂うペイズリー柄のショールをつくり各国へと輸出をはじめるのでした。
しかし、どうしてか思うように需要が伸びません。その大きな原因は、ある植物の独特な芳香にあったといわれています。
はたしてヨーロッパの人々を魅了したといわれるその香りとは、いかなるものだったのでしょうか?
ヨーロッパにインドのショールが輸入された際には、運搬中の被害から大切なショールを守るため“パチューリ”という植物の匂いを染み込ませた箱や葉をしのばせる方法がとられました。
なぜなら、インド原産のこの植物には、強力な防虫殺菌効果があり、運搬中に発生する蛾の幼虫の虫喰いを抑えることができたからです。
インドやアラブの女性達は、古来よりパチューリを絨毯や織物に編みこむなどして生活に役立ててきました。また、媚薬的ともいえる独特の香りは防虫の目的だけでなく、高温多湿で汗ばむ地域の防臭に対するエチケットの役目も果たしてきたのでしょう。
はたして、英国製のショールにもパチューリの香りが付けられたとたん、販売が推進したと伝えられます。この事からもヨーロッパの人々がオリエンタルの魅力を香りをとおして感じていたことがわかるでしょう。
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