『香り花房・かおりはなふさ』では、日本の香りと室礼文化を研究しています。

香り花房 ー『香りと室礼』文化研究所 ー
恋しい匂い
新宿御苑の観菊会

伊勢神宮の花びらが16枚ある十六紋菊を型どった砂糖菓子 菊の花が皇室の紋章として定められたのは明治元年(1868年)で、この時より菊は“皇室ゆかりの花”として特別に扱われていきました。

 宮内庁は、丹精込めて作られた菊を鑑賞する「菊花拝観」の会を、明治11年東京赤坂の仮皇居で初めて催し、やがて桜を愛でる「観桜会(かんおうかい)」は浜離宮、「観菊会」は赤坂離宮で開かれるようになります。
 そして大正6年より「観桜会」が新宿御苑で、昭和4年からは「観菊会」も御苑で行われるようになりました。

新宿御苑「日本庭園」/池のほとりのススキが穂を開き始めます。 この催しは、大喪・御大典の年や戦争のために中止されることもありましたが大切に存続され、昭和24年には、御苑が国民公園となったことから一般庶民にも公開されるようになっていきました。
 観菊会をご覧になりたい方は、秋の深まりゆく11月1日から15日まで、新宿御苑の「日本庭園」にて開催されていますので、足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
 嵯峨天皇の御愛の嵯峨菊や、武家屋敷に門外不出として伝わった肥後菊など、歴史ある古典菊の姿を見ることができますよ。

○懸崖作り花壇
山野に自生する一重咲きの野菊が岩間から垂れ下がっているかに仕立てたもの。

嵯峨菊○伊勢菊・嵯峨菊・丁子菊花壇
嵯峨菊は、嵯峨天皇の御愛の菊で京都の大覚寺に植えられ歴史ある古典菊。
三重の伊勢菊は、縮れた花びらが特徴ですが、本当にクシュクシュと丸まって咲きます。



大作り花壇○大作り花壇
1本の株を半円状に仕立て何百というたくさんの花を同時に咲かせたみごとな様式の花壇。

写真注釈:一本の株から500リンの花を咲かせる高度な技術とその茎の細さに驚ろかされるでしょう

○江戸菊花壇
江戸時代、菊に対する人気はおおいに高まります。
江戸菊は狂菊ともいわれ様々に変化する花びらの狂い咲 き芸が最大の特徴です。

一文字菊○一文字菊・管物菊花壇
一文字菊は花びらが平たい一重咲きの花で、花 弁の数が16枚前後あり皇室の御紋章菊(16菊)とよばれています。

写真注釈:手の指を開いたよりも大きな花姿


○肥後菊花壇
肥後菊は九州の肥後の藩主・細川家に門外不出として伝わった古典菊で、その昔は一般人が決して目にできないものでした。
武士道に通じるといわれる花壇の仕立ては、宇宙の原理に のっとり、ただ花を咲かせるだけでなく一年の四季を通じ て修行する場でもありました。 現在、秀島流の栽培法が伝承されており、240年変わる ことない権威を誇っています。

大菊花壇○大菊花壇
厚物の菊は、花びらが丸く盛り上がり手まりのような見事な姿に整います。

写真注釈:黄・白・紅の花が45度の角度で整然と並べられます

「日本庭園」案内図 パンフレットより
Copyright (c) KAORI HANAFUSA All Rights Reserved.