
光源氏の孫に当たる方で、源氏と“明石の御方”との間に生まれた姫君が帝と結ばれてできた貴公子です。
生まれながらにして地位・名誉・美貌・才能などのあらゆる条件をもち合わせた彼は、人々の注目に値する輝かしさをもっており、プレイボーイで情熱的な源氏の陽の部分を備えているといわれます。
薫君と匂宮の二人は、仲の良い友人関係を築きつつ青年へと成長しますが、様々な面でのライバルでもありました。
とくに不思議な芳香を具えた薫君をうらやましく思う匂宮は、ことのほか香りに対して競争心を燃やします。

・・・薫君の身体の芳香に競争心を抱いた匂宮は、自ら調合した薫物を焚き染めることを朝夕の仕事にし、また、一般の人が好まれる花の香りでなく、老いを忘れるという言い伝えの菊や枯れ果てていくフジバカマ、地味なワレモコウの花などを、すっかり霜枯れてしまうまで捨てずにおき、その香りを愛する風流人を気取っているのでした。・・・
なにかにつけ好敵手の二人ですが、こと香りに関しては、薫君に勝ることができなかったようですね。
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