2014年 9月12日
蓮の香り
泥の中に咲く神秘的な花 ”蓮”。
結実したその実の重さに頭をもたげ
種を水中へと落として生涯を閉じるこの花に
特別な想いを抱く方も多いことでしょう。
私自身も水面からスクッと頭を出し
ユックリと蕾を開かせる姿をながめる時、
まるで光が集められていくかのような眩しさを感じるのを不思議に思うのです。
その花は、早朝5時から6時にかけて少しずつ花びらを開き始めます。
主に雄蕊から放散されるという芳香は、
真夏の厳しい陽差しを浴びるにつれ
水面の蒸気と相まって甘い香りをあたり一面に漂わせるのでした。
開いては閉じるを3日ほど繰り返した花びらは、
やがて力を失うかのようにホロリを散りゆき、後には青い花托のみが残ります。
蜂巣の実の成熟とともに固くしわがれ
褐色へと変化していった花托は、
20日の後には生命の全てを子孫へと託し
頭をもたげ力尽きていくのでした。
「蓮の実のポプリ」には、
再生を願って終焉を迎えた様々な植物を取り合わせて
器に盛り付けましょう。
姿楽しい木の実たち・種を宿した草々や花のサヤさらに、
ツルや何だかわからないけれども面白いドライとなった植物も加えましょう。
皆それぞれに生をまっとうし枯れてもなを輝きをうしなってはいません。
香りには、強い香気の中にも魅力的な甘さを秘めた3種の香辛料に、
神聖な白檀と安息香・丁子の精油を加え、
水面のようにキラキラと輝く龍脳の結晶を加味して
天上の花にふさわしい高貴な香りにしあげます。
~蓮の実のポプリ~
香料
大茴香 2ヶ
丁子 小さじ半分
シナモン 2本
龍脳 小さじ半分
匂い菖蒲根 小さじ1
白檀オイル 3滴
丁子オイル 1滴
安息香オイル 2滴
匂い菖蒲根(刻みオリスルート)を小袋にとり、
3種の精油を垂らしてよく揉み込みます。
大きな密閉できるパックに蓮の花托や木の実をあわせ、
大茴香・丁子・シナモンをあらく砕き龍脳も加えましょう。
すべての材料をザックリ合わせましたら、
密閉し2~3週間熟成させてください。
やがて個々に主張していたの香りの角がとれ、
お互いが寄り添うように一つの完成された芳香へと仕上がります。
その香りは「素直な心のままに身を委ねられる香り」
と言ったら良いでしょうか。
奥深くそして気品あふれる芳香が部屋をそっと包み込みます。
熟成が完了しましたら
蓮の魅力をひきたてる器を選びキレイに盛り付けてみましょう。
このポプリは、蓮の花咲く盛夏ではなく
心静まる秋からから冬にかけて飾っていただく室礼となります。
私が選んだのは伊万里の焼き物です。
大中小とあるそれぞれの器には、
ゆったりと泳ぐ亀さんと水草・水紋が描かれていますが、
上野の不忍池の蓮池にたくさんの亀がいたのを思い出し
この器を選びました。
お料理のように中高にそして立体的にポプリを盛り付けます。
共にしつらえたお軸は、泉福寺「装飾華厳経切」(そうしょくけごんきょうきり)。
平安時代に写経されたものです。
平安時代、写経は本格的な書写に先立ち、
貴重な紙を漉き一巻の巻物に作ることから始まりました。
この泉福寺の華厳経は、
藍の染料で染めた紙の繊維を再びに溶き漉きあげた上に
金の揉み箔を散らした美しい料紙が使われています。
釈迦入滅後、
二千年を経過すると悟りを得る者は一人としていなくなるという末法思想は、
飢饉や疫病の続く平安人に不安をつのらせ、
末法の到来を予感させるものでした。
人々は阿弥陀如来に救いを求め、浄土信仰が盛んとなります。
そうして仏への帰依に基づいた写経は、盛んに行われる事となるのでした。
このお軸との出会いは、父が亡くなった時でした。
父の葬儀の時、古物を扱っている義兄がそっと飾ってくれたのです。
私の心が、現世を去り天へと召した父へと向かっていたからでしょうか。
連なる端正な文字を眺めていると、
何とも表現しがたい美しさに心が引き込まれます。
それ以後このお経が
私の心から離れることはありませんでした。
一年を経た頃、
父の供養にぜひ写経を飾りたいと思い立ち
義兄に相談したところ、このお軸を譲ってくれたのです。
それからこのお軸は、わたしの無二の宝物となりました。
蓮のポプリと共にしつらえると
香りとともに、目を伏せて静かに微笑む
頑固で一途だった父の面影が思い出されます・・・。
2014年9月6日
浄土の香り
『維摩経(ゆいまきょう)』というお経の中に、
香積如来(こうしゃくにょらい)が住まわれるという
「衆香国(しゅうこうこく)」のお話が記されていますのでご紹介しましょう。
その国は一切が香でつくられております。
楼閣はかぐわしい香木でできており、園にある植物は香樹香花に満ち、
食する香飯(こうぼん)の香りは世界の隅々にまで漂うほどで、
これを口にしたものは心身が安楽になり
全身から芳香を発するようになるといわれます。
香積如来は言葉による説法はおこなわず、
香樹の下でただ種々の香りを聞かせて天人たちを導きます。
菩薩たちは妙なる香りを嗅ぐことで仏の教えを理解し
「一切徳蔵三昧」の境地へと導かれるのです。
敦煌の壁画には、
神聖な蓮華の香りを振りまいて教えを説く香積菩薩の絵が描かれています。
衣がユッタリとたなびき大変優美なお姿ですね。
敦煌の壁画
「蓮香を振りまく香積菩薩」第61窟
「蓮・100の不思議」
蓮文化研究会著書/ 出帆新社より
神秘に満ちた香りには、
魂を震わせ心を正す力が秘められているのでしょうか。
古代エジプトの神殿でアラーの神に捧げられた薫香、
教会の大きく揺れる銀香炉より白く立ち昇る香煙、
そして仏前で僧侶の読経とともに焚かれる香と、
いにしえの時代より祈りの場では香りが重要な役割を担ってきました。
人々は香りに包まれることで
神聖な空間に結界をつくるようにその場を清浄へと導き、
おおいなる神と交信する手立てとしてきたのでしょう。
人知の及ばない天が生み出した妙なる芳香には、
言葉を尽くした説法にも勝る力が
宿っていることを改めて思うのでした・・・。
2014年9月6日
真夏の暑さも一段落し、涼しい風が吹くようになりましたね。
皆様、お元気にお過ごしでしょうか。
「蓮のポプリ」
厳しい日本の夏をしばし忘れさせてくれるかのように
大きな葉を揺らしながら気品漂わせ咲く”蓮の花”。
数ある植物のなかでも、
この花に特別な感情を抱かれる方も多いことでしょう。
私も多分に漏れずその一人なのですが、
香りを仕事としているものとして
「蓮のポプリ」を創作するのあたっては、かなりの思い入れがありました。
今回は、完成までに至る過程を三回にかけて
蓮のお話とともにお伝えしたいと思います。
どうぞ、ご覧下さい。
「源氏物語の蓮」
夏の蓮花の盛りの頃、
源氏の年の離れた正妻“女三の宮”の出家を祝って
持仏開眼の法要が盛大に執り行われることとなりました。
正妻とはいえ、
あまりに幼い“女三宮”に感心を寄せていなかった源氏の君ですが、
彼女の出家の決意を聞いたときにみせた狼狽と執着は
読むものを驚かせることでしょう。
失うと思うと急に惜しく感じてしまう、
人間のサガというものが良くあらわされているなと感じます。
源氏が彼女のために用意した仏具や持経は
目を見張るほど美しいものばかりで、
場面では馥郁と薫物の香りが漂います。
源氏物語「鈴虫」与謝野晶子訳
「・・・仏前の名香には
支那の百歩香(ひゃくぶこう)がたかれてある。
阿弥陀仏と脇士(きょうじ)の菩薩が
皆白檀で精巧な彫物に現されておいでになった。
閼伽(あか)の具はことに小さく作られてあって、
白玉と青玉で蓮の花の形にしたいくつかの小香炉には
蜂蜜の甘い香を退けた
荷葉香(かようこう)が燻(く)べられてある。
・・・薫物をけむいほど
女房たちがあおぎ散らしているそばへ院はお寄りになって、
空だきというものは
どこでたいているかわからないほうが感じのいいものだよ。
富士の山頂よりも
もっとひどく煙の立っているのなどはよろしくない・・・」
訳
「・・・仏前には支那の百歩香が焚かれています。
白檀で作られた神聖な阿弥陀仏と菩薩が飾られ、
貴重な玉を蓮の花形に彫刻した小さく可愛らしい香炉には、
夏の香り“荷葉”の練香が
蜜を控えて涼しげにその香りをたなびかせていました。
・・・また高価な薫物を煙いほどに焚きしめ女房たちが
あおぎ散らしている様子を見た源氏の君は
”空薫きはどこで焚かれているのだろうか
と思うほどに控えめなのが良いのですよ。
富士のお山よりも煙がたなびいては風情がありません”
と女房たちをいさめるのでした・・・」
香りに包まれた、おごそかな仏事の様子が目に浮かんできますね。
彼女は14歳であどけない少女のまま
父親のような源氏のもとに嫁ぎました。
が、やがて忍んできた“柏木(かしわぎ)”という青年との密通により
不義の子を身ごもってしまいます。
やがてその秘密は源氏の知るところとなり、
罪の重さに耐えかねた柏木の死や自らの苦悩から
男の子を出産した後に若くして出家の道を選ぶのでした。
こうして不幸にも不義の子を自分の子供として抱くことになった源氏の君ですが、
この事実はかつて己が犯した罪を再現するものだったのです。
源氏は若き頃、実父の后である“藤壺の君”に恋した末、
不義の子を産ませてしまいます。
彼の脳裏には、わが子と疑わず赤子を抱き上げ喜ぶ
父の顔が浮かんできたことでしょう。
罪の報いをこうしたかたちで現実に受け
彼の心は複雑に揺れ動くのでした・・・。
平安時代の末法思想
源氏物語に登場する女性たちは、
藤壺にはじまり
朧月夜・空蝉・六条御息所・女三宮・浮舟と
次々に出家の道を選びますが、
果たしてそれはどうしてでしょう?
平安時代はちょうど釈迦入滅後二千年にあたり、
悟りを得る者は一人としていなくなるという
”末法思想”が流布された時代でした。
さらに天変地異による飢饉や疫病が続いて起ったことも
平安人の不安をあおり末法の世の到来を予感させたのでしょう。
人々は阿弥陀如来に救いを求め
仏への帰依に基づいた出家への憧れが強くなっていったのです。
また、一夫多妻の男性主導の世の中で
たいへん弱い立場にあった女性たちの唯一の逃げ道が、
仏の道に身を投じることでした。
源氏物語の姫君たちは
出家することでようやく心の平安を得、
愛に翻弄されることなく
自らの人生を生きることができたのかもしれません。
女三宮の出家の様子を描いた「鈴虫の巻」は、
夏の盛りということで蓮池が描かれています。
蓮は仏教との関わりが深い神聖な花で、
仏は大海に咲いた蓮華の上に現れるとされました。
このおごそかな仏事に備えられた
「支那の百歩香」とは、
唐より伝わった薫衣香(くのえこう・衣に焚きしめる香)の優れた処方の名称で、
百歩先までその香りが感じられるほどの名香です。
また、愛らしい香炉には夏の香り「荷葉(かよう)」が焚かれています。
この香は基本となる練香「六種の薫物(むくさのたきもの)」のひとつで、
夏に葉を広げる蓮葉の印象をとらえ
甘さを控えて涼しげに調合されました。
盛夏に執り行われた女三宮の開眼供養
という場面を彩るにふさわしい香りといえるでしょう。
『六種の薫物』
春「梅香」・・・梅の花になぞられた華やかな匂い
夏「荷葉」・・・蓮の花になぞられた涼しい匂い
秋「菊花」・・・菊の花に似た匂い
冬「落葉」・・・木の葉の散る頃のあわれの匂い
その他に季節を問わないもう2種の処方があります。
「黒方」・・・身にしみわたる香り
「侍従」・・・秋風が吹くようにもののあわれを感じさせる香り
「源氏物語」の文中に登場する六種の薫物のそれぞれの香りは、
季節やその時々の人々の心情をみごとに反映し、
場面場面の臨場感を引き立てているのです・・・。
2014年 7月27日
インドを代表する香料「白檀」は、
心を落ち着かせる重さとまとわりつくかのような甘さを備えており
仏像や彫刻・お香や扇子などに利用され日本でも大変なじみの深い香りです。
神秘の国インドでは、
聖なる植物が神話や伝説に多く登場し宗教的信頼を得ていますが
それらは医学的に見ても理にかなうものでした。
インドで誕生されたお釈迦様の生涯には
じつにたくさんの芳香植物が登場し、
香りに彩られていると言っても過言ではないでしょう。
それでは、ご一緒にその軌跡をたどってみることにしましょう。
仏陀の聖なる植物の香り
お釈迦様は、紀元前4~5世紀ごろインドのカピラ国の王子
として誕生しました。
母である摩耶夫人が里帰りする途中、
ルンビニー花園の大変香りのよい菩提樹に手を触れたそのとき、
急に産気いた彼女の右脇下からお生まれになりました。
誕生の瞬間、天上からは蓮の花びらがヒラヒラと舞い降り
甘い香りの雫が降り注いだと伝えられます。
幼子は生まれてすぐに蓮の上を7歩あるき、
右手で天を左手で地を指して「天上天下唯我独尊」と唱えられました。
その意味は、
”天上天下広しといえども誰もが尊い存在であります”
”それぞれが聖なる目的をもって生まれてきているのですよ”
と、私は解釈しています。
生後一週間で母を失ったお釈迦さまですが、
その後すくすくと成長し16歳で妻をめとり子供を得ます。
しかし、
生老病死など人々の苦悩する姿を目にしたときから彼の鎮痛は深まり
「どうしたら人間を救えるものか」と苦悶した末、
29歳で真理を求めて密かに城を抜け出すのでした。
師との出会いを重ねてはさすらい、
壮絶な苦行を重ねる日々が6年におよんだ39歳の時、
彼は新たな道を切り開こうとある村に降りたちます。
やせ細ったお釈迦様を見た村娘スジャータは、
ミルクとチーズでお米を炊いた香り豊かな一椀のお粥を手渡すのでした。
その後、川で沐浴し菩提樹の林を抜けて大きな石の上で瞑想する彼に、
村人は爽やかなレモングラスで編んだ敷物を差し出します。
レモングラスはイネ科の植物で
爽やかなレモンに似た芳香を放ちます。
瞑想する釈迦の心を乱そうと、
次から次へと悪魔が誘惑を仕掛けてきます。
しかし彼はこれをことごとく撥ね退け、
とうとうブッタガヤの大きな菩提樹の樹の下で悟りを開くに至るのでした。
インド・ブッタガヤの菩提樹
釈迦が悟りを開いた樹の子孫といわれます。
菩提樹(インドボダイジュ)・・・
この神聖な樹は、
ネパールやインドのほとんどの聖地・寺院に植えられているクワ科の高木で、
イチジクを小さくしたような丸い実をつけます。
菩提樹の寿命は非常に長く、
スリランカには紀元前288年に植えられたといわれる木が存在します。
お釈迦様は、完全な悟りを得る決意でこの樹の下に東を向いて座しました。
涼しい木陰は崇高な静けさを生み出し、
人々に生気を与えるといわれています。
その後45年間に渡り人々に説法を行ったお釈迦様ですが、
80歳で思い病気にかかり、いよいよ涅槃に入る時が近づくのを悟るのでした。
多くの弟子・村人そして像や虎までもが寄り添い嘆き悲しんでいます。
弟子のアーナンダを連れ
クシナガラ城近くの沙羅双樹の樹の下に静かに横たわったお釈迦様は、
やがて多くの弟子に見守られながら静かにその生涯を閉じるのでした。
幾重にも丁寧に綿に包まれたその遺骸が荼毘に付される時には
じつに大量の白檀の香木が用いられたと伝えられています。
この世は ”生老病死”、 逃れきれない様々な苦しみに満ちているものです。
仏陀は人間に課せられたそうした苦しみに
どのように立ち向かえば良いかを追求し続けた人でした。
そしてその人生の最後に
「この世は美しい。人生は甘美である。」
という言葉を残して旅立っていかれたのです・・・。
白檀(サンダルウッド)・・・
ビャクダン科・原産地インド
栴檀(センダン)とは中国名
白檀は単独では成長することのできない常緑無毛の半寄生植物で、
根の先端に小さな吸盤があり
他の木(ホストプラント)の値に寄生して養分を吸収し成長します。
豊かな香りの精油は、
樹齢30年以上の樹の心材からしか得ることができず、
上質といわれるものは80年以上の成長が必要です。
白檀の心材をシロアリが食べないことに気づいたインド人は、
切り倒した白檀をシロアリの大群に放置して貴重な心材を手に入れました。
栽培が大変難しい植物のため、
インド政府により伐採制限・輸出規制が設けられ
年々入手が困難になっています。
白檀の薫る場所には、邪悪な霊は忍び込めないと伝えられ
白檀や沈香で匂いを付けた黒色の油を
像の全身に塗り込める風習が古くからありますが、
ヒンドゥー教の信者らは白檀のペーストをシヴァ神の像に塗ることで
神を満足させ自らが信者であることを表すのでした。
ブッダが荼毘に付される時に多くの白檀が焚かれたように、
現在でも火葬のおりには白檀が用いられます。
豊かな者は薪として貧しい者には一片の木片が投じられ、
神々が喜ぶ香りとともに旅立つ死者の魂は
現世での苦しみを逃れ
ガンジス河の流れにのって来世 へと向かうのでしょう。
白檀の練香「雪月花」
はじめて白檀の練香を製作したのは、今から10年ほど前になるでしょうか。
肌に優しいホホバ油にミツバチの蜜蝋を溶かし
白檀を基本とした天然香料を贅沢に配合した練香は、
時を経るごとに熟成され更に芳醇な香りを放つようになりました。
心を落ち着かせるインド白檀の神秘的な香りは、
心を静め瞑想にふさわしい芳香として
多くの宗教的儀式に用いられてきた歴史があります。
今回はお釈迦様の生涯にスポットをあて、
インドの聖なる植物を基調とした三種の練香を調合することにしましょう。
手のひらに乗るほどの小さな器に香りを閉じ込め、
蓋をあけてその豊かな芳香を楽しむ「雪・月・花」の白檀香。
香りのバランスを考え残香性・安定性を重視して
高濃度に配合してみました。
「雪」・・・白檀と薬効高い草が生み出す神秘の香り
「月」・・・白檀と心惑わす3種の精油の至福の香り
「花」・・・白檀と聖なる花々がかもしだす魅惑の香り
それでは目をつむり、それぞれの香りをゆっくりと吸い込み
身体全体で感じとってみましょう。
特色の異なる三種の芳香は、
この地上に育まれる植物の豊かさを存分に伝えてくれることでしょう。
さあ、あなたの心を一番ゆさぶる香りは果たしてどれでしょうか ♥
2014年 7月26日
今日は、暑かったですね。
東京も35度近くになりましたでしょうか。
年々ヒートアイランドで暑さ対策に追われますが、
何だか昨年あたりより
若干暑い夏に慣れてきたようにも感じています。
人の適応力とはすごいものですね。
とにかく逃げることはできませんので、
皆様がんばって乗り切りましょう♥
今回は、古帛紗(こぶくさ)に挑戦です。
古帛紗とは
茶道の世界などで使われる小さな布のことを指します。
濃茶をいただくときに茶碗に添えたり
茶道具を拝見するときにあてがったりするものですが、
そうした行為には
お道具を傷つけないよう大切に扱うという気持ちが表されています。
古帛紗に用いられる布地に決まりはありませんが、
ときには鑑賞の対象にもなるため
金襴や銀欄・錦・緞子・間道
そして
正倉院裂や名物裂・更紗・古布など様々に
持ち主の好みが反映されています。
今回は、仕覆製作の正式な縫い方で古帛紗を仕立ててみましょう。
オリジナルの三種の型紙を用意しておくことで
いつでも手軽に縫い上げることができます。
好きな文様や思い出深い裂地などでたくさん仕立て、
香炉など飾り物の下に敷いたりアクセサリーやお数珠を載せるなど、
日常の暮らしの中で用いることで
モノを丁寧に扱う心が育てられることでしょう。
堺更紗の古布で仕立てた古帛紗に
中国 唐代の土人形 を飾ってみました。
手の平に乗る小さな唐子とお坊さん
座り心地はいかがでしょうか?