2014年2月10日
鼻煙壺というのをご存知でしょうか。
鼻煙香の歴史と鼻煙壺( Snuff Bottle )
15世紀末、コロンブスのアメリカ大陸発見にともない
先住民が嗜んでいた煙草の習慣はヨーロッパへと伝わり、
宮廷貴族のあいだで大きな話題となります。
当時タバコには薬効があり気付け薬としてまた
頭痛や喘息にも効くと信じられていました。
さらに同時期、ヨーロッパでペストやコレラなどの伝染病が蔓延したことにより、
疫病予防のひとつの手段としても受け入れられていったのです。
未知の新しい感覚であった煙草は人々の心をつかみ、
1641年にはスペインに煙草製造工場も建設されるようになります。
英国王のためのスナッフボックス
中国へと伝わったのは17世紀中頃で
当初はイエズス会の宣教師によって
清朝皇帝など権力者たちへ贈呈されました。
”鼻煙香”とは、
粉末状にしたタバコの葉に龍脳や麝香などの香料を調合したもので
極少量を小皿や手に受け鼻から吸い込んだり鼻孔にすりつけたりして
その芳香刺激を楽しむものです。
ヨーロッパでは、粉を入れる専用の嗅ぎ煙草入れとして
金銀や宝石などをちりばめた箱型のスナッフボックスが作られました。
しかし、湿気の強い中国では密閉することが必要となり、
薬瓶をヒントに小さな口にコルクで蓋をし
細い匙を差し込んで粉をすくい出す容器が生み出され、
玉や瑠璃・硝子・陶磁器・象牙などを素材とした精工な鼻煙壺が誕生していきます。
なかでも”内絵鼻煙壺”は、
小さな口から耳かきほどの竹製の筆を差し込んで
内側に絵を描くという精緻な技法がもちいられました。
神仏の姿や自然を謳歌する春の花々、
読み仮名が恋につながる蓮、
仙女の愛する果実桃また、
神獣鳳凰や龍
など文様には福を呼び込む縁起の良いモチーフが選ばれ
”掌の上の芸術品”として人気を博しコレクションの対象となっていきす。
やがて海外からの使節にお土産として渡された中国の鼻煙壺は、
ヨーロッパに渡り香水瓶のデザインの元となっていくのでした。
お香屋さんにいくと紫檀や黒檀・桜の木などで作られた
伝統的な円形の塗香入れを見かけることでしょう。
塗香とは、手や身体に香をすり込んで
穢れをはらい清めるためのパウダー状のお香のことを指します。
香の使用が始まったとされる酷暑の国インドでは、
油に白檀のペーストや香る材をいれた香油をつくり
頭痛や発熱のおりに額や身体に塗って熱苦を取り去り
清涼感を得る風習がありました。
なかでも白檀は非常に高い殺菌力をもち、
皮膚を浄化して毒を消す力が秘められているといわれ、
塗香の主原料にもなっています。
私は常々、好みの塗香入れを探してきましたが、
今回硝子の鼻煙壺に出会ったことで
皆さんと一緒に塗香の調合をと思い立ちました。
塗香は神仏や自分の心と向き合うときに使うもの、
故にくだけすぎずまた長く愛用できるものを求めていたのです。
インドで誕生した仏教が日本へとたどり着く道筋となった国・中国の美しい鼻煙壺を器とし、
それぞれの感性をいかしたご自分だけの塗香を調合してみましょう。
2014年1月30日
友人の結婚式に参列してきました。
彼女とは、高校時代に知り合い本当に長いお付き合いをさせて頂いています。
いつの間にか私たちも50代となり
人生の中盤を過ぎたといえるでしょう。
女性の人生は、学生時代を終えてからそれぞれの道へと大きく変化していきます。
嬉しい出来事もたくさん、大変な思いもたくさん、
誰もが一様に乗り越えていかなければなりません。
心が弱った時、そっと相手を気遣い寄り添ってくれる
そんな友人の存在はありがたいものですね。
美しい彼女の花嫁姿を見て
走馬灯のようにいろいろなことを思い出しました。
いつもまっすぐに一生懸命生きてきた彼女のために
ウエディングブーケをつくります。
いままでたくさんの方々にブーケをプレゼントしてきましたが、
エレガントだけではない
人生を乗り越えてきた強い女性にふさわしいように
モダンな色の古代薔薇をくみあわせ
成熟した大人のデザインに仕上げます。
年を重ねてからの結婚
とても素敵ですね。
♥♥♥ 心からおめでとう ♥♥♥
2014年 1月11日
大きなカカオの実がなっております。
じつは、バリ島への旅で思いがけないことがありました。
なんと生きた麝香猫を目にすることができたのです。
ジャコウネコとは、香料の世界で大変貴重な
動物性香料を採取できる4種の動物のうちのひとつで、
もちろん日本には生息しておらず
じっさいに見ることができるなんて想像すらしたことがありませんでした。
思い出しても、とっても興奮してしまいます♥♥♥
猫さん檻の中で恨めしそうにこちらを眺めていますね。
「アーアそんなに見ないでよ」
なんて決して幸せそうに見えませんが、
カカオやコーヒーなど栽培しているこの植物園は、
あの世界で一番高価と言われる麝香猫コーヒー
「KOPI LUWAK」(コピ ルアク)の生産元だったのです。
後ほどご紹介しますその作り方を聞かれて
ウッと思われる方もおられるかもしれませんが、
生産量の少ない大変稀少なコーヒーなのです。
ウーン、香りがまったく違います。
素晴らしい香味
通常のコーヒーと聞き比べをするとよくわかりますが、
鼻の奥から脳へシベットといわれる麝香猫の
神秘的なペースト香が
ローストしたコーヒーの心地よい芳香と合い交じり
独特の香りをはなち立ち登ってくるのです。
赤い実は、麝香猫が餌としているコーヒー豆
グルメな彼らは、熟した美味な豆しか食しません。
体内に入った豆の種は消化されず、糞と一緒に排出されてくるのですね。
それらをキレイにし、じっくりと煎り、
さらに棒で突いて粉状にしたものが コピ・ルクア です。
バリでは、カップにコーヒーの粉を直接入れ熱湯を注ぎ
沈むのを待って飲みます。
アララ糞なんて、と思われる方もいるかもしれませんが
1995年には、世界一高価なコーヒーとして
「イグノーベル栄養学賞」にも輝きました。
麝香猫の腸内の消化酵素の働きや発酵によって
人を魅了する独特な香味が豆に加わる
本当に貴重な産物なのです。
日本の珈琲専門店でもだされているとうかがいますが
一杯たぶん1500円から5000円程かと思います。
しかし、その品質にはバラつきがあるようです。
もともとは先進国の人々にコーヒー豆を残らずもっていかれ
現地の人々が捨て置かれた麝香猫の糞にまみれた豆を綺麗にして
飲んだことより発見されたといわれる麝香猫コーヒー。
恐れずに、どうぞお試し下さい。
バリ島は、本当にさまざまな顔を見せてくれました。
バリの観光は、一般的に個人で車をチャーターし時間制で案内していただきます。
お世話になりました、わたしたちのガイドさんをぜひご紹介しましょうね。
お名前は、通称ウイッキーさんです。
もと免税店でお仕事をしており、現在は観光ガイドのほか車やバイクのレンタルもなさっています。
英語も日本語もとてもお上手ですし、こちらの希望をちゃんとくみ取り案内してくれますよ。
ふたりのお子さんのパパでとても人柄の良い方です。
風邪気味にもかかわらず、深夜までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
また、ぜひ訪れたいと思っています。
どうぞバリにお越しの際はご連絡ください。
mobile : + 62 878 626 30379 または + 62 812 398 4930
phone : + 62 361 2765 108
Email : tudewicky@yahoo.com
今回、私たちはホテルではなくヴィラというプール付きのコテージに泊まりましたが
周りにはオーストラリアやヨーロッパの家族連れやカップルが
1ヶ月も長期滞在するヴィラが多数ありました。
彼らは、スクーターをレンタルしてビーチに行ったり寺院を巡ったり
また夜の街に繰り出したりと本当に自由気ままに休日を楽しみます。
近所にはイギリス風のパブや欧州のベビーミルクやお菓子の並ぶスーパーなどもあり
日本のお休みと随分違うものと
なんとも羨ましく感じて帰国した次第です。
最後に、毎朝朝食を作りに来てくれたハンサムさんのお写真を。
バリの人々は、日本人よりも小柄で細く、
はにかんだような笑顔で接っしてくれます。
マスコットの猫さんも自由気ままに歩き回り
足元でおやつをオネダリなどして可愛かったです。
また、朝の目覚めはまるでジャングルの中にいるかのように
さまざまな鳥たちの鳴き声が響き渡るのでした。
2014年 1月10日
明けましておめでとうございます。
今年も様々なことを学び、良い作品をお届けできますよう 努力してまいりたいと思います。
皆さまにとりまして、良き一年でありますこと心よりお祈りいたします。
わたしは、年末からお正月にかけてバリ島へいってきました。
この島が「神々の国」といわれる、そのゆえんに触れる旅となりましたので 少しお話ししましょう。
インドネシア・バリ島は、90パーセントがバリ・ヒンズー教徒の人々で
たいへん信仰深い日常をおくっています。
葉っぱで作られた器に盛られたお供えは、毎朝祈りとともに供えられるもの。
各家々にはかならず隣接して自家のお寺が建てられていますので
朝の街並みを通ると色鮮やかな供物がいたるところに目に入ります。
ホテルのフロントや各ヴィラの入口、
そしてなにげない土手や車の行き交う大きな交差点の道路の真中にまで供えられていますが、
あそこにはいったいどうやって置いたのでしょうね。
そうした供物は、やがて崩れバラバラになっていきますが
すべてが自然の植物で作られているため環境を汚すことはありません。
非常にナチュラルですね。
「収入の30%を信仰の為に使うので大変なんですよ」
とガイドのウイッキーさんがおっしゃっていましたが
バリの人々の深い信仰心に守られて、
なんだか良い一日を過ごせるような朝のスタートとなりました。
移動中、ちょうど村の神事に遭遇しました。
愛らしい子供の列を先頭に、頭に供物をのせた人々が続き、
白い布を巻いているのが僧侶の方々と伺いましたが
正装した衣装の色合いがとても綺麗ですね。
島内には歴史ある寺院が多数点在しています。
それらのなかでひとつ、とても感動的だった寺院史跡をご紹介しましょう。
オットと一緒の写真しかないので、少し恥ずかしいですがご覧ください。
寺院の入口では、サルンと呼ばれる腰巻を巻いてくださいます。
階段を下りたその先に降り立つと
空気そして光がまったく違うことに気づかれることでしょう。
その神聖な空間は、日本の神社仏閣で感じるものとはまた異なった
もっと土っぽいような、自然の生み出す霊気に加速されるような
さらに下にはみそぎを行う苔むした泉があり
滑りそうな階段を下りていくと、 豊満な肉体をした女神が一列にならび聖なる水を湛えています。
ウブドにあるこの寺院遺跡は
象の洞窟という名前の 「ゴア・ジャガ」寺院で、11世紀につくられました。
日本だとちょうど平安時代後期、源氏物語の執筆されたころですね。
この遺跡は、1923年ヨーロッパ人により発見されました。
そしてさらに崩れた石積や土砂の下から、1954年神秘的な泉・沐浴場が見つかり
驚きをもって世界中へと発信されたのです。
魔女ランダの印象的なレリーフの口から洞窟内部へと入ると
そのむかし修行者が瞑想したという15ものくぼみや
シバァ神の子供という象の顔をした知恵の神ガネーシャの像などが
1000年のときを経て包み込むように
私たちにを迎えてくれるのです。