雪月花
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その41 「花を飾るということ 1  “古代・祈り”」

2015年 4月10日

 

 ~花を飾るという事~    古代・祈り

 

日々の暮らしの大きな節目となるお正月、

日本人はこの日を一年の初めとし

様々な「室礼」をほどこしてきました。

 

祝い花としての ~花を飾る~ という行為もそのひとつでしょう。

年月を木肌に刻み大地にシカと根をすえた常磐木の松、

わずか三日でその身を天へと伸ばす竹、

リンとした寒気のなか清らかな香りとともに蕾をほころばせる梅の花、

そして難を転ずるいわれの南天や早春花・水仙など・・・。

 

新年にふさわしい植物を選んで飾られるこの行為には、

日本人が育ててきた神そして

自然に対する精神的な思いが投影されています。

 

今回は、祖先の花に対する扱いの歴史をとおして

   ものいわぬ花の静かな語り事     に耳をかたむけてみましょう。

 

 

 

古代 ~祈り~

 

依代(よりしろ)・・・神霊が天より降臨し宿るもの           伊勢神宮の苔むした巨岩

 

 

豊かな自然は、私たちに大きな恵みをもたらしてくれます。

が、時として激しく荒れ狂い、

恐ろしい厄災を引き起こすことも少なくありません。

故に古代の人々が何か事あるたびにその力の偉大さを感じ、

そこに神の姿を見出したのも理解できることでしょう。

 

本来、とはその姿をもたず又、

ひと所に定着するものではないと考えられてきました。

天より降臨した神霊は、

様々な物体である依代を媒体として宿るのです。

 

熊野・那智の大滝

鎮座する巨岩、うっそうとした山、樹齢を重ねた樹木など、

人々は霊気の感じられるその場所で祈りを捧げ

神に対する畏怖の念をあらわすのでした。

 

 

 

 

 

奈良の三輪山

 

「  三輪山を しかも隠すか 雲だにも

          情(こころ)あらなも 隠さふべしや  

                         「万葉集」額田王

 

都が飛鳥から近江へと遷ることになり、

この地で生を受けた額田王(ぬかたのおおきみ)にとって

何かにつけ手を合わせ心のよりどころとしていた

三輪山とのお別れは悲しいものでした。

 

“だのに雲はいじわるをするかのように

三輪山に覆いかぶさってしまいます。

どうぞ心があるならば、あの御山を隠さないでおくれ・・・“

 

と、歌に託して語りかけるのでした。

 

 

奈良の三輪山

 

 

 

 

 

 

 

「古事記」や「日本書紀」にも登場する奈良県桜井市の“三輪山”は、

古代より神聖な神の住む山としてあがめられてきました。

草一本、石ころひとつ取ってはいけないとされる山中には、

神の依代である「磐座(いわくら)」が祀られ、

多数の勾玉や神器が発見されています。

 

 

奈良県よりJR桜井線に乗り「天理駅」を過ぎると、

大和盆地の静かな景色の中、

大きな鳥居の先にたたずむ穏やかな円錐形の神山“三輪山”が見えてきます。

その先の「三輪駅」で下車し徒歩で5分もすると、

三輪山を御神体とする『大神神社(おおみわじんじゃ)』に到着します。

 

じつは、日本最古の神社といわれるこの大神神社には本殿がありません。

鳥居をくぐって参道を抜けた先にある拝殿の奥には、

木々に覆われた三輪山が鎮座しており、

その御山にむかって手を合わせるという

原初の神祭りの形式を今に伝える神社なのです。

 

仏教の教えもまだ渡来しておらず、

大地の営みと共に生活していた古代の日本人にとって

神とは森羅万象そのものでした。

 

神の魂は自然の中に宿るとされ、

生命力あふれる常磐木から

風化し死のイメージのつきまとう曝れ木(しゃれぼく)にまで、

その霊気を感じとっていたのです。

 

 

 

2015年04月10日 up date

その40 「春の日に心を癒すひとりカフェ」

2015年 3月27日

 

東京の桜開花の報道に、心はフワフワと浮き立って参りました。

 

しかしながら

人生には一つや二つの悩みはつきもので

私もその御多分に漏れず

春の憂鬱が小さな隙間を見つけてグワッと襲ってきているのです。

 

こんなに気持ち良い季節を迎えているのに

これではいけません。

なんとかせにゃいかん」  ですね。

 

 

 

皆さま、そんな時はどの様にして過ごされるのでしょうか?

 

20150327_143014

 

はい、わたしは何もしたくないという億劫な気持ちを隅っこに無理やり押し込み

なるべく明るい色の洋服をまとってお出かけすることにしています。

今日は、オシャレな目黒白金周辺を散策することにしましょう。

 

アンティックの腕時計屋さんに

リサイクルの着物屋さん、

イタリアの輸入食料品店に

小粋なパティスリー、

 

愛犬を散歩させる素敵なマダム達をながめ

何を買うでもなくフラフラとお店を出入りしているうちに

ウーン なんとなく憂鬱さんが薄くなっていくような感じがします。

 

歩き疲れたのでティータイムといたしましょうか。

脇道を少し行くと

塗装していない樹で作られた何とも感じの良いカフエがありました。

平日の2時過ぎ

店内のお客さんも少なくビンテージのソファも心地よさそうですね。

 

それでは、レモンバーベナのハーブティーに

大好きなチョコレートのシホンケーキを注文しましょう。

 

大きなマグカップにタップリいれられたティーは

温かい湯気爽やかな香りで私を包み

美味しそうなケーキに添えられた白いクリーム

実にサッパリとフワフワで

生クリームが苦手な私も

思わずペロッと食べてしまうのでした。

 

さあ、あまり疲れないうちに帰りましょうか。

 

マンションの向かいにある明治学園のチャペルが新緑と相まって綺麗ですね。

 

 

20150327_151036

 

 

お部屋につくと西南の窓から

スポットを当てられるかのようなまぶしいが差し込み

窓辺に置かれた様々な装飾が天井へと転写して

なんとも愛らしいこと・・・。

 

20150312_111402

 

夫が作った観覧車にフランスの馬車の置物

水晶でできたキャンドル立てなどなど

壁から天井へと写り込んで不思議な光景です。

 

ちなみにお花のような照明は

自分たちで取り寄せ組み立てたもの。

ポワンと蓮の花が浮かんでいるように見えませんか?

 

何だかんだ、こんな一日を過ごすうちに

少しずつ自分を取り戻していくことができたようです。

 

 

さあ、大きく深呼吸をし

志しを高くスー上へと押し上げ

これからも、ていねいに一歩ずつ進んでまいりましょう。

 

今日は、わたしの独り言にお付き合いいただき

ありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年03月27日 up date

その39「菫の砂糖菓子と香るハンギングサシェ」

2015年3月9日

 

春の予感タップリの今日この頃、

桜の満開の花ビラ越しに

青い空眺める幸せが訪れるのも間もなくのことでしょう。

 

こんな季節には気持ちも華やぎ

エレガントで夢あふれる作品を作りたくなりますね。

 

20150224_155358

この愛らしいシートはお好きな布地に転写できる

ヴィクトリアン転写プリント」です。

凹凸の少ない布地の上に絵柄を下にして載せ

熱くしたアイロンをギュッとかけるだけで

簡単に転写しプリントできるのです。

まずは、このプリントをもちいた「フレグランス・ハンギングサシェ」を作りましょう。

 

20150224_142300

 

こんな感じに仕上がりました。

ハンドルをつけたのでドアノブやクローゼットなど

お好きな場所にポンと引っかけてくださいね。

 

ビィクトリアン柄が浮きあがるように織られた白い布に

転写したプリントを貼り付け

その周りに額縁のように

 

レースやフリル赤い野イチゴの実や

ミニバラ真珠

アジサイなどを飾ります。

20150224_110831

 

サシェの中には、温かい芳香を放つ

カモマイルのポプリを詰めましょう。

 

 

20150228_140112  chamomile キク科・カミツレ属

カモマイルには

甘いリンゴのような香りがあり

人の心を一瞬で優しく包みこみます。

 

ハーブティーにしても大変おいしく、

黄色い花粉に含まれるアズレンという成分が

花粉症に効果を発するともいわれています。

 

イギリスの絵本作家ポーターが描いたピーターラビットの物語にも

お腹をこわしたときのお茶として登場していますね。

蜂蜜を少し加えると、さらに美味しくいただけるでしょう。

 

若き日、初めて一人で参加した海外ツアーで

ポーターの故郷であるイギリスの湖水地方を訪れました。

木の温もりあふれる彼女の生家には

ピーターラビットを描いたという木製のテーブルに

広げた状態の原画がポンと置かれておりました。

 

手を触れても良いのかと思うほどの

そのあまりの無造作ささに驚かされるとともに

心優しきポーターの手から生み出された原画が発する光のようなものに

フーとため息するのでした。

 

彼女の生涯をたどってみれば

決して派手なことを好まず

静かながらも芯のあるその人柄と、

自然を何よりも大切に思い私財を投じ広大な野山を保護した生き方に

尊敬と憧れの念を抱くことでしょう。

 

 

 

さあ、今回のサシェのレシピは

 

ジャーマンカモマイル  大匙 2

ラベンダー       大匙 2

ローズペタル      大匙半分

月桂樹         1枚

クローブ        小匙 1

シナモンスティック   半分

 

精油は加えず、ドライハーブとスパイスだけで優しい香りに仕上げました。

 

それでは次に、

春を代表する草花「(すみれ)」を美味しく食べていただきましょう。

 

20150130_164218

 

エディブルフラワーの代表ともいえるスミレは、

ヨーロッパだけでなく

アジア・北アメリカなど原産地が多岐にわたり

200以上もの種類をもつといわれます。

春の訪れと共に大地から頭をもたげ

恥ずかしそうに咲き出でるこの花を愛する民族は多く、

古代より様々に利用されてきました。

 

美しい紫の色と香りを熱湯にうつし甘みをつけたスミレのシロップ

眠れない夜のナイトキャップに、

 

ブドウ酒に漬け込まれた大量の花弁は

3回ほど漬け変えられたのち蜂蜜を加えスミレのリキュールにまた、

 

花びらをゆでてつぶし粉・ミルク・ハチミツをあわせて作られたスミレ菓子

ヴェルサイユの貴婦人たちにおおいに好まれました。

 

ロマンティックで愛らしいスミレを口にすることは、

本来の薬効よりも

さらに大きな心理的効果を挙げたことでしょう。

 

 

クリスタライズドフラワー(砂糖菓子)

 

ハーブやお花をもちいた

可愛らしい砂糖菓子の作り方をお伝えしましょう。

お茶に添えたりケーキのお飾りにしたり、

そのままシャリシャリ食べても美味しい

クリスタライズドフラワーは

お友達へのプレゼントにも大好評です。 

20150130_164135

 

 

 

材料  エディブルフラワー・グラニュー糖・卵白・パラフィン紙

 

作り方

 

お花はサッと洗って水気をふき取ります。

卵白を切るように攪拌し

お花の裏と表に筆などで丁寧に塗り

グラニュー糖の上において両面をまぶしつけ、

パラフィン紙の上に並べ

2~3日乾燥させたら出来上がりです。

 

パラフィン紙を持ち上げるようにして丁寧にはずし、

乾燥剤を入れた容器におさめて冷蔵庫などで保存すれば

1~2ヶ月は美しい状態で楽しめるでしょう。

 

きれいに仕上げるポイントは、

写真にあるように逆さにして乾かすことでしょうか。

逆さにすることで花弁が折れることなくきれいに乾きます。

どうぞ、お試しください・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年03月09日 up date

その38「愛らしい天平の花喰い鳥」

♥♥2015年 2月1日

 

20141128_162517

 

 

 

久しぶりのご挨拶です。皆様おげんきでしたか

厳しい寒さの中、徐々に明るく変化していく陽射しにが近づくのを感じますね。

 

じつは年の瀬12月28日にバタバタと高輪に引っ越しをいたしました。

ダンボールの山に中で新年を迎え、

荷物整理や転居にともなう手続きや、新しくしたパソコンとも格闘しているあいだに

あっという間に一月が過ぎ去り、

ようやく静かな生活を取り戻すことができたところです。

 

20150104_144534  マンションのお庭に咲く冬桜

 

さあ、今年も良い作品作りに努めましょう。

 

今月は、昨年より作成してきました作品の完成です。

 

 

 

愛らしい天平の花喰い鳥 

 

 

正倉院御物に見られる華やかな天平時代の文様は、

いつの世でも人々に喜びと感動とを与えてくれます。

中でも小さなクチバシで花をついばむ ”花喰い鳥文様” は、

その愛らしい姿とオリエンタルな趣

大変人気のあるデザインといえるでしょう。

クチバシに植物の枝をくわえた鳥の意匠は、

聖書にあるノアの箱舟の物語に登場する

オリーブをくわえた小鳥に由来しているともいわれます。

 

 

今回は、ぼかし染めされた古布

薄綿を被せて作る”押絵”という手法を用いて

眺めているだけで心温まる小さな花喰い鳥をつくります。

 

 

 

 

 

20150208_121549 こんな風にパーツパーツを作り組み合わせ作品を仕上げていきます。  

 

 

 

 

頭には繊細な蓮花型に作られた金銀の天冠を、

尾には尾長鶏の様に三種類の天然羽毛をスーとなびかせ

華麗さを演出してみました。

 

赤いクチバシパールの花弁に輝石をはめこんだ枝花をくわえ

軽やか鈴の音とともに舞い降りる小鳥は

あなたのもとへと幸せを運んでくることでしょう。

 

 

 

 

 

 

2015年02月08日 up date
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