2019年2月10日
美しい画帖をご紹介しましょう。
これは江戸時代につくられた「堂上方御詠 十二ヶ月色紙和歌画帖」です。
一年の移り変わりを月ごとに詠んだ和歌と
その和歌に即した大和絵が添えられたもので
王朝人の雅な暮らしが描かれています。
上記はその一枚目、一月(睦月)の「根引き松」の様子です。
添えられた和歌は
「初子(はつね)の日 よはひを延への 小松はら
ひく手に千代の 春やちきらむ」
准三宮(じゅんさんぐ)
~初子の日、寿命を延ばす霊力があるという小松を引く手に、千世の春をお約束いたしましょう~
正月初めの子の日を初子(初音)といい、
古来より小高い丘にのぼり四方を望むと陰陽の気が定まり煩悩が取り除かれる、
という言い伝えがありました。
平安時代の貴族たちは、
この日皇室の狩猟所である紫野や北野などに出かけ、
小松を根付きのまま引き抜いたり、
凍える大地より芽吹いた若菜を摘んでは親しい人々へと贈り合い、
羹(あつもの・吸い物のこと)に食して一年の健康と長寿を願うのでした。
この画帖をめくっていると、
日本人の暮らしが自然とともにあったことがよく解ります。
もうすこしこの画帖を詠み砕き、
皆様に新刊にてご紹介したいと考えていますので楽しみにお待ちください。