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その69「聖夜の祭壇・IHS蒔絵中次」

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2016年12月7日

 

今年も12月となりクリスマスの季節となりました。

街のイルミネーションもはじまりキラキラと綺麗ですね。

 

我が家も少しだけクリスマス。

イコンを飾り祭壇を設えてみました。

 

 

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水晶を溶かして成形されたキャンドル立てには

友人から頂いたフランス土産の」のロザリオを

 

手前にあるのは「IHS蒔絵中次」です。

 

「IHS」とは、キリスト教カトリック修道会イエスズ会のこと。

 

イエズス会の宣教師であったフランシスコ・ザビエルは

1549年日本へと趣きキリスト教に布教に心血を注ぎました。

異国の地での布教はどんなにか大変だったことでしょう。

そこで彼らは、

日本の工芸品である美しい蒔絵工芸をもちいた様々な祭具を設え布教に挑んだのです。

 

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蓋表には、標章であるIHSの文字の上に螺鈿で十字架が

その下には磔刑にされたキリストの三本の釘が象徴的に」はめ込まれ

文字を囲むように配置された太陽のような光の光線は、

茨の冠をあらわしているといわれます。

 

 

私の器は本歌を小ぶりにして、

茶道の抹茶を入れる棗(なつめ)に仕上げたものです。

いつの日かクリスマス茶会など催すことができたら素敵ですね。

 

 

縁切り寺として有名な鎌倉の東慶寺にその本歌があります。

もともとはミサに用いる聖餅(オスチャ)をいれるための容器で

黒漆の上に標章を囲む印象的なデザインの螺鈿がはめ込まれ、

側面には金銀の葡萄唐草が描かれています。

 

私のものは茶道具を扱う「やました」さんでもとめたもので

小ぶりにして抹茶を入れるお棗(なつめ)に仕立ててあります。

 

 

 

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ベネチアガラスのツリーに

昔からズーと使っているイルミネーションを灯して

 

我が家の少しだけ聖夜です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年12月07日 up date

その65「広島平和記念公園」

2016年5月27日

 

現職の米国大統領として初めて被爆地・広島を訪れたオバマ大統領。

映像に映し出されるこの歴史的瞬間をみていると

かつて訪れた日々が思い出されます。

 

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2年前の2014年8月、

私は出雲から松江そして広島へと旅をしました。

今まで仕事に明け暮れていたオットに

私がかつて訪れた日本の美しい景観を

ぜひ見てほしいと計画した初めての旅でした。

 

 

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最初に訪れたのは、島根県出雲大社。

 

三重の伊勢神宮で感じた

背筋が伸びるかのようなキリっとした空気とは異なり

いつ訪れても何とも温かい気持ちに包まれる神社です。

 

60年に一度の本殿遷宮を済ませたばかりの出雲大社は

多くの人々でにぎわいを見せていました。

 

この数年来、

遷宮にまつわる行事に参加するために何度も訪れていた事もあり

良く来ましたね

と、迎えられているかのような心地よさに包まれます。

神聖なる空間に身を置くだけで幸せを感じるのはどうしてでしょう。

 

良きご縁を授けてくださった神様に

ようやくお礼をお伝えすることができました。

 

 

 

 

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次に、

米国の「ジャーナル・オブ・ ジャパニーズ・ガーデニング」に

13年連続日本一の庭園に選ばれた足立美術館へむかいます。

白砂の敷き詰められたその庭園は

後方の山々の景色も意識して端正に造作されており

ため息が出るほどに美しく

いつまで眺めていてもあきることがありません。

 

また、コレクションである横山大観のひとつひとつの絵には

感情を内へと封じ込める日本人の奥ゆかしい美意識があふれており

見るものを惹きつけます。

 

 

 

 

 

暮れて翌日、

今日は美しい城下町松江へと向かいましょう。

 

 

 

天守 (国宝) 松江城の国宝天守閣

 

キーコキーコと船頭さんの漕ぐ

松江城の堀川巡りは

目線も低く水と一体となるかのような

舟遊びの心地よさを感じさせてくれます。

 

松江のお殿様は、有名な茶人でもあった松平不昧公(ふまいこう)。

 

江戸中期、千利休の登場もあり茶の湯は隆盛を極めました。

鎌倉期より盛んに輸入された裂地は

大切な茶道具を包む袋として姿を変えていきます。

 

 『古今名物類聚(こきんめいぶつるいじょう)』とは、

不眛公によって編まれた十八冊編纂の茶道具書ですが

そのうちの2冊が「名物切の部」で、

実物の百五十種あまりの美しい裂を丁寧に貼った

“裂手鑑(きれてかがみ)”

として超一級の価値を誇っています。

 

金箔を織り込んだ金襴や緞子

縞や段、格子文様の間道

錦・印金・インド発祥の染色裂更紗

そしてビロードやモールなど

 

これら一級品の布地は、茶道具の仕覆や

お軸の表装などに使われたのです。

 

財政を湯水のように使って収集し

松江藩を困窮にさせた殿様ですが、

 

その優れた審美眼によって

どれほど日本の織物染色技術また意匠の発展が促されたことでしょう。

 

また、お茶好きのお殿様のおかげで

松江城下には多くの和菓子店があり

銘菓巡りも楽しみのひとつとなっています。

 

 

 

 

そして最後に、

私たちは広島を訪れたのです。

 

小雨模様の安芸の宮島・厳島神社は、

 

厳島神社4

 

 

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以前訪れた時とは異なり

静かにどこか寂しげにそこに佇んでおりました。

 

無事に参拝を終え市内のホテルへと戻ります。

 

当初、旅の予定はここまでとしていましたが

昨晩食事したお店で出会った広島の若者たちの楽しげな笑い声と

昨日とはうって変わった青空に

広島市内へと出かけることにします。

 

世界で初めて核爆弾が落とされた街として有名な広島は、

私にとってハードルの高い場所であり

行かなければという思いとは裏腹に

脚を運ぶことのできない地だったのです。

 

路面電車に揺られ辿り着いた広島平和記念公園は、

樹々の緑美しく、広い空間に風の流れるのが心地よい場所でした。

 

見渡すと幾度となく映像で見た建物がそこにあります。

平和の鐘、原爆供養塔

そして円形の鉄枠をさらす原爆ドーム。

広い公園を囲むように流れる川面は

キラキラと夏の日差しを受け輝いていました。

 

しかし式典が行われる原爆死者慰霊碑の広場を歩いていると

 

急に胸が締め付けられ

涙があふれ嗚咽を抑えることができなくなったのです。

 

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かつてこの場所に倒れ込んだ多くの人々の悲しみが

私の身体をとおして浮かび上がってきたかのように

自分の意志に関係なく沸き起こる制御のきかない現象に

私たちは足早にその場所を後にするのでした。

 

原爆ドームを背に演説するオバマ大統領の眼差しには

71年前の惨劇が浮かび上がっていたことでしょう。

その真摯な演説を聞きながら、

リーダーとなる人の素養がいかに大切かということを感じ

 

また、被爆者である91歳の坪井直(すなお)さんの

痛み苦しみ葛藤を乗り越えた人だけが見せる天真爛漫な笑顔と

大統領に語りかけた

・・・アメリカではなく人類の過ちであった。未来に向かって頑張りましょう・・・

 

という言葉に人間の尊い姿を見るのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年05月31日 up date

その60 「茶杓削り」

20150517_1127562016年3月27日

 

 

茶道の世界の扉を開いたのは、

まだ若き高校生の時。

 

自宅の応接間を茶室に改装したのを機に、

一番上の姉が近しいものに茶道を教え始めたのです。

 

私立の女子高に通っていた私は、

友人数名と学校帰りに

興味本位でお稽古をはじめました。

 

正座もままならず、

しびれたと言っては笑い

マジメな顔をしてるといっては笑い

お茶が苦いと言っては笑い

 

大したこともないことに

おかしくて仕方がない私たちにとって

その時間は美味しい和菓子がいただける

楽しい時間のひとつでしかありませんでした。20160206_134310

 

 

 

まだその世界の奥深さも

全く理解しないままに・・・。

 

 

月日は流れ、やがて茶道は

私の人生になくてはならないほど

貴重なものへとなっていきます。

 

自分の人生に戸惑いを感じているとき

 

茶室という限られた空間に座っているだけで

不思議と心は静まります。

 

温かい茶碗のぬくもりを両手に感じ

フワッと湯気とともにたちのぼる茶葉の香りに満たされ

 

泡立ったお茶をソッと口に含むと

固まったからだと心が

ユックリとほぐされていくのでした。

 

 

日本文化を理解するには

茶道を始めると良いといわれるように

その世界には他国にはない

独特ともいえる日本民族の美意識が詰まっているといえるでしょう。

 

 

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茶道の世界を表現する言葉として使われる

「詫び寂び」

 

先日、尊敬する市川宗文先生にその意味を教えていただきました。

 

侘びとは、粗末な中に美を見出すこと

寂びとは、時を経てかもし出す美のこと

 

日本人ならでは価値観ですね。

すべてを悟りきったからこそ到達できる境地ともいえるでしょう。

 

 

まだまだ未熟ですが、

これからも茶の湯をとおして

たくさんのことを学ばせていただきたいと思っています。

 

 

今回わたしは初めて茶杓削りを体験させていただきました。

 

 

20160402_140654  初めて作った茶杓です。

 

「言祝ぎ(ことほぎ)」と銘をつけました。

 

 

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左が先生が準備して下さった竹です。この状態から削りだしていきます。

右は私が削った茶杓、中央にあるのは茶杓をおさめる竹筒です。

 

小刀で少しずつ少しずつ整えていくのですが、

乾燥しきった竹はとても固く

手を切りそうで思うように削ることができません。

 

自然と意識は集中し、

手元のみを見詰めて

ひたすら削ることに没頭していきます。

 

自分で体験したことで

その奥深さをあらためて実感することになるのでした。

 

竹を削りだしただけの茶杓に驚くほどの値が付けられているのを見て

驚かれる方も多いことでしょう。

 

時代の数寄者たちが自らの手で削りだした茶杓には

その方の美意識だけでなく、

生き方そのものまでが表れているのです。

 

また所持してきた歴々を拝見することで

 

上手に表現できませんが、

宗教的ともいえる茶道の世界に命を懸け

真剣に取り組んできた先人たちの思いを知ることができるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年04月12日 up date

その58 「猫のサスケさんの近況です」

20160203_100642♥2016年2月12日

 

随分と陽射しが

明るく感じられるようになってきましたね。

春の訪れも間近でしょう。

 

今日は、我が家のアイドル

サスケさん」の近況をご報告します。

 

 

初めてのお洋服

 

ではなく、お散歩用のリードをつける”ハンドルベスト”を着せてみました。

赤いタータンチェックが可愛いですね。

 

なぜこれを用意したかというと、

以前ダニがついてしまった時につけたダニ除け首輪のお蔭で

サスケさんの首は毛が丸くグルッと抜けてしまったため、

今はユルユルの首輪に交換してあります。

 

でも急にお医者さんに行かなければならない時

また大地震などに見舞われた時

などを考え

 

飛び出さないようにしっかりと捕まえられるという

猫さん用ベストを購入してみたのです。

 

ちょっと迷惑そうですが、ほどなくして慣れ

このままお昼寝をしていました。

 

でも身体をなめてグルーミングする猫さんには

お洋服は必要のないものなので

時折り練習で着せてみたいと考えています。

 

 

 

20151220_110904  次に体操中のサスケさん。脚を踏ん張っています。

 

必要なのかわかりませんが、

オットは寝てばかりいるサスケさんに

これではダメダヨーと

筋力アップの運動をさせています。

 

 

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最近では、こんなことまでできるようになりました。

すごいですねー。サスケさん偉い。

 

最後にお気に入りのモコモコベットです。

 

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お耳のついた猫さん型のベット。

本当は耳の部分が上になって立てて使うのですが

横にした方が面積が大きくなるので中に入って丸まっています。

床暖房とダブルでぬくぬくが気持ち良いのでしょう。

いつもこの中でスヤスヤしています。

 

昨年の7月に我が家に引き取ってから

早8カ月が経ちました。

 

忙しく暮らす私たち夫婦との生活で

彼なりのペースを維持しながら毅然としている様子をみると

猫さんて偉いなあと感じます。

 

これからも長生きして仲良く暮らしましょうね。

いてくれて、ありがとう♥♥♥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年02月12日 up date

その56 「満月と紅富士」

20151228_1324522015年12月26日

 

今年も年の瀬をむかえました。

皆さまにおかれましては、

お忙しくお過ごしのことと思います。

 

暖冬のせいでしょうか

街角の椿も早、蕾をひらいて咲き競い

何となく年末という気分も薄れ

大掃除という気持ちになれなくて

困っていますが、それでも昨日はクリスマス。

 

 

今年は38年ぶりに満月と重なり、

美しい聖夜となりました。

 

私は友人ご夫妻と、山中湖の旅へと向かいます。

 

澄んだ夜空に煌々と光を放つ満月が浮かび

湖の水面のさざ波を月光が写しだす、

それは美しい夜でした。

 

また、早朝に紅富士が見られると伺い

眠い目をこすりながら6時に起き出したわたしは、

カーテンの向うに広がる静寂の世界に心を奪われます。

 

椅子を窓辺に引きずり出しガウンをまとって

ずっと眺めておりました。

 

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青い夜空に浮かぶ満月に

雪を抱いた富士は

言いようのないほどに神秘的で美しく

シーンとした静けさに包まれています。

 

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やがて少しずつ空に光が流れ込み

 

月が太陽に席を譲って朝が訪れる・・・

 

という有名な一節を目の当たりに

 

光を弱めながら彼方へと去っていく月に代わり

東から差し込む朝日が

富士の雪肌を紅色に染めてゆきます。

 

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赤富士とは、夏の朝に富士の山肌が赤褐色に染まること。

紅富士とは、真冬の雪をかぶった富士の山肌が紅に染まること。

 

その違いを初めて知りました。

 

富士五湖の中で一番富士山に近いといわれる

山中湖でながめた雄大な富士の景色は、

 

これからの暮らし方や

仕事に対する姿勢を

静かに諭すかのように感じられました・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年12月29日 up date
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