雪月花
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その3 「モヒートの香りの森」

上高地林

2013年7月

 

上高地 20130720_185900

 

はじめてこの地を訪れたのは、いつだったでしょうか?

そびえる穂高連峰からそそぎこむ梓川の豊かな水

から松やクマザザの生い茂る神秘的な森

足元に静かに咲く山の花々

そして夏を忘れさせるかのようなヒンヤリとした冷気

 

これほどまでに自然が保たれている場所は稀有といえることでしょう。 まだ行ったことのない方は、ぜひ訪れてみてください。

上高地花3

2年前にはリュックを背に涸沢(からさわ)まで登山したわたしですが、

今回はオットとひと時の癒しの旅です。

電車とバスを乗り継いでようやく夕暮れに到着、ホテルまでの道筋を歩いていると

香りが違うことにすぐさま身体が反応します。

柑橘のように爽やかで透明感のある心地よさに身を任せていると、

アララなんだか涙がでてきそう・・・。

あまりの不思議な感覚に旅が終わるまでズッと、この香りの謎を考えることになるのでした。

上高地鴨さん

荷物を置き、夕食までの時間を利用して大正池までお散歩に出かけましょう。

景観を損なわないようにしつらえられた木の桟橋を行くと

ホタルブクロ や 白い唐松草 、蕗の丸葉 や 野あざみ 

が静かに風に揺れています。

夕暮れのせいか人気もまばらな中、月の輪熊の出没も報じられて、

ちょっと、イヤイヤ大分オドオドしましたが、

大正池で出迎えてくれたのは人懐こいカモさんたちでした

 

 

上高地の生き物は人を恐れないということで有名です。

翌日も登山道を歩いていると茂みから突然ニホンザルの一団が横切りました。

頭の小さなそれは可愛らしいお猿さんでしたが、何よりも威嚇はもとより警戒心も遠慮も何もなく

当たり前のような自然なふるまいに

本来の人間と動物との関係は、このようなものだったのでしょうと、なんだか嬉しくなりました。

この地は何かにつけ原点を思い出させてくれる貴重な場所なのですね。

 

 

20130720_191447 夕食が終わり星を見に外へ出てみると

満ちる間際の月はみえるものの 雲がかかっていて星の姿が見えません。

以前来た時には

満天の星空に 大きな天の川 がどうどうと横たわるように流れていて

それはそれは感動したものです。

 

そしてあのロマンティックな七夕伝説が誕生したのも納得できるなあ

などとひとり思ったものでした。

 

確かあの時は夕立があってずぶ濡れになり、夜には晴れたものの

月はでていなかったはず。

月明かりが星のまたたきを邪魔するなんて思いもしませんでした。

が、わたしたちの頭上には 、かくも星が散りばめられているですね。

ロマンという甘い言葉が失われつつあるといわれる所以は

こんなところにあるのかもしれません。

 

 

 

そうそう、森の香りのお話でしたね。

 

たった1泊の旅でしたが、あのすべてを浄化するかのような尊い香りの感覚を、どのように表現したらよいものか

東京に戻ってからも記憶をたぐり探し求めていました。

 

そんな時、巡りあったのです。   そう、この香りとても近い 

それが モヒート です。

 

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今、若者に人気となりつつある流行りのお酒

私もこのお酒をはじめて口にしたとき、あまりの美味しさと完璧さに感動すらおぼえました。

 

基本は、ラム酒(バカルディが有名)とライムとフレッシュミント

そしてクラブソーダ(炭酸水)にグラスを満たすタップリの

 

モヒートは、はじめにグラスに投げ込んだ

ライム生のミント葉

ギュッギュッとつぶしてつくります。

皮付きゆえに青い柑橘の爽やかさに独特の苦味が加わり、生葉ゆえにミントの薬効を感じるハーブ臭が加わるのでしょう。

 

もう、何ともいえない配合の見事さ ♥

そうです。この感じなのです。 上高地のあの森は・・・・・・。

 

普通の避暑地の森では感じることのできない、

熊笹の抹茶のような青い芳香に 雪解け水に育まれた苔の香り

そして自らの身を守るために備わった樹木が抱く殺菌成分の放散が、この森の香りを作り出していたのでしょう。

 

上高地4

 

 

お酒の香りと森の香りが通じるなんて不思議ですね。

果たして、あなたはどのような印象をいだかれるでしょうか

ぜひぜひお出かけになり、身体全体で感じてみてください。

 

 

2013年7月27日 up date
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