
2015年 3月27日
東京の桜開花の報道に、心はフワフワと浮き立って参りました。
しかしながら
人生には一つや二つの悩みはつきもので
私もその御多分に漏れず
”春の憂鬱”が小さな隙間を見つけてグワッと襲ってきているのです。
こんなに気持ち良い季節を迎えているのに
これではいけません。
「なんとかせにゃいかん」 ですね。
皆さま、そんな時はどの様にして過ごされるのでしょうか?
はい、わたしは何もしたくないという億劫な気持ちを隅っこに無理やり押し込み
なるべく明るい色の洋服をまとってお出かけすることにしています。
今日は、オシャレな目黒白金周辺を散策することにしましょう。
アンティックの腕時計屋さんに
リサイクルの着物屋さん、
イタリアの輸入食料品店に
小粋なパティスリー、
愛犬を散歩させる素敵なマダム達をながめ
何を買うでもなくフラフラとお店を出入りしているうちに
ウーン なんとなく憂鬱さんが薄くなっていくような感じがします。
歩き疲れたのでティータイムといたしましょうか。
脇道を少し行くと
塗装していない樹で作られた何とも感じの良いカフエがありました。
平日の2時過ぎ
店内のお客さんも少なくビンテージのソファも心地よさそうですね。
それでは、レモンバーベナのハーブティーに
大好きなチョコレートのシホンケーキを注文しましょう。
大きなマグカップにタップリいれられたティーは
温かい湯気と爽やかな香りで私を包み
美味しそうなケーキに添えられた白いクリームは
実にサッパリとフワフワで
生クリームが苦手な私も
思わずペロッと食べてしまうのでした。
さあ、あまり疲れないうちに帰りましょうか。
マンションの向かいにある明治学園のチャペルが新緑と相まって綺麗ですね。
お部屋につくと西南の窓から
スポットを当てられるかのようなまぶしい光が差し込み
窓辺に置かれた様々な装飾が天井へと転写して
なんとも愛らしいこと・・・。
夫が作った観覧車にフランスの馬車の置物
水晶でできたキャンドル立てなどなど
壁から天井へと写り込んで不思議な光景です。
ちなみにお花のような照明は
自分たちで取り寄せ組み立てたもの。
ポワンと蓮の花が浮かんでいるように見えませんか?
何だかんだ、こんな一日を過ごすうちに
少しずつ自分を取り戻していくことができたようです。
さあ、大きく深呼吸をし
志しを高くスー上へと押し上げ
これからも、ていねいに一歩ずつ進んでまいりましょう。
今日は、わたしの独り言にお付き合いいただき
ありがとうございました
2015年3月9日
春の予感タップリの今日この頃、
桜の満開の花ビラ越しに
青い空を眺める幸せが訪れるのも間もなくのことでしょう。
こんな季節には気持ちも華やぎ
エレガントで夢あふれる作品を作りたくなりますね。
この愛らしいシートはお好きな布地に転写できる
「ヴィクトリアン転写プリント」です。
凹凸の少ない布地の上に絵柄を下にして載せ
熱くしたアイロンをギュッとかけるだけで
簡単に転写しプリントできるのです。
まずは、このプリントをもちいた「フレグランス・ハンギングサシェ」を作りましょう。
こんな感じに仕上がりました。
ハンドルをつけたのでドアノブやクローゼットなど
お好きな場所にポンと引っかけてくださいね。
ビィクトリアン柄が浮きあがるように織られた白い布に
転写したプリントを貼り付け
その周りに額縁のように
レースやフリル、赤い野イチゴの実や
ミニバラ・真珠・
アジサイなどを飾ります。
サシェの中には、温かい芳香を放つ
カモマイルのポプリを詰めましょう。
chamomile キク科・カミツレ属
カモマイルには
甘いリンゴのような香りがあり
人の心を一瞬で優しく包みこみます。
ハーブティーにしても大変おいしく、
黄色い花粉に含まれるアズレンという成分が
花粉症に効果を発するともいわれています。
イギリスの絵本作家ポーターが描いたピーターラビットの物語にも
お腹をこわしたときのお茶として登場していますね。
蜂蜜を少し加えると、さらに美味しくいただけるでしょう。
若き日、初めて一人で参加した海外ツアーで
ポーターの故郷であるイギリスの湖水地方を訪れました。
木の温もりあふれる彼女の生家には
ピーターラビットを描いたという木製のテーブルに
広げた状態の原画がポンと置かれておりました。
手を触れても良いのかと思うほどの
そのあまりの無造作ささに驚かされるとともに
心優しきポーターの手から生み出された原画が発する光のようなものに
フーとため息するのでした。
彼女の生涯をたどってみれば
決して派手なことを好まず
静かながらも芯のあるその人柄と、
自然を何よりも大切に思い私財を投じ広大な野山を保護した生き方に
尊敬と憧れの念を抱くことでしょう。
さあ、今回のサシェのレシピは
ジャーマンカモマイル 大匙 2
ラベンダー 大匙 2
ローズペタル 大匙半分
月桂樹 1枚
クローブ 小匙 1
シナモンスティック 半分
精油は加えず、ドライハーブとスパイスだけで優しい香りに仕上げました。
それでは次に、
春を代表する草花「菫(すみれ)」を美味しく食べていただきましょう。
エディブルフラワーの代表ともいえるスミレは、
ヨーロッパだけでなく
アジア・北アメリカなど原産地が多岐にわたり
200以上もの種類をもつといわれます。
春の訪れと共に大地から頭をもたげ
恥ずかしそうに咲き出でるこの花を愛する民族は多く、
古代より様々に利用されてきました。
美しい紫の色と香りを熱湯にうつし甘みをつけたスミレのシロップは
眠れない夜のナイトキャップに、
ブドウ酒に漬け込まれた大量の花弁は
3回ほど漬け変えられたのち蜂蜜を加えスミレのリキュールにまた、
花びらをゆでてつぶし粉・ミルク・ハチミツをあわせて作られたスミレ菓子は
ヴェルサイユの貴婦人たちにおおいに好まれました。
ロマンティックで愛らしいスミレを口にすることは、
本来の薬効よりも
さらに大きな心理的効果を挙げたことでしょう。
クリスタライズドフラワー(砂糖菓子)
ハーブやお花をもちいた
可愛らしい砂糖菓子の作り方をお伝えしましょう。
お茶に添えたりケーキのお飾りにしたり、
そのままシャリシャリ食べても美味しい
クリスタライズドフラワーは
お友達へのプレゼントにも大好評です。
材料 エディブルフラワー・グラニュー糖・卵白・パラフィン紙
作り方
お花はサッと洗って水気をふき取ります。
卵白を切るように攪拌し
お花の裏と表に筆などで丁寧に塗り
グラニュー糖の上において両面をまぶしつけ、
パラフィン紙の上に並べ
2~3日乾燥させたら出来上がりです。
パラフィン紙を持ち上げるようにして丁寧にはずし、
乾燥剤を入れた容器におさめて冷蔵庫などで保存すれば
1~2ヶ月は美しい状態で楽しめるでしょう。
きれいに仕上げるポイントは、
写真にあるように逆さにして乾かすことでしょうか。
逆さにすることで花弁が折れることなくきれいに乾きます。
どうぞ、お試しください・・・。
♥♥2015年 2月1日
久しぶりのご挨拶です。皆様おげんきでしたか?
厳しい寒さの中、徐々に明るく変化していく陽射しに春が近づくのを感じますね。
じつは年の瀬12月28日にバタバタと高輪に引っ越しをいたしました。
ダンボールの山に中で新年を迎え、
荷物整理や転居にともなう手続きや、新しくしたパソコンとも格闘しているあいだに
あっという間に一月が過ぎ去り、
ようやく静かな生活を取り戻すことができたところです。
マンションのお庭に咲く冬桜
さあ、今年も良い作品作りに努めましょう。
今月は、昨年より作成してきました作品の完成です。
愛らしい天平の花喰い鳥
正倉院御物に見られる華やかな天平時代の文様は、
いつの世でも人々に喜びと感動とを与えてくれます。
中でも小さなクチバシで花をついばむ ”花喰い鳥文様” は、
その愛らしい姿とオリエンタルな趣で
大変人気のあるデザインといえるでしょう。
クチバシに植物の枝をくわえた鳥の意匠は、
聖書にあるノアの箱舟の物語に登場する
オリーブをくわえた小鳥に由来しているともいわれます。
今回は、ぼかし染めされた古布に
薄綿を被せて作る”押絵”という手法を用いて
眺めているだけで心温まる小さな花喰い鳥をつくります。
。 こんな風にパーツパーツを作り組み合わせ作品を仕上げていきます。
頭には繊細な蓮花型に作られた金銀の天冠を、
尾には尾長鶏の様に三種類の天然羽毛をスーとなびかせ
華麗さを演出してみました。
赤いクチバシにパールの花弁に輝石をはめこんだ枝花をくわえ
軽やか鈴の音とともに舞い降りる小鳥は
あなたのもとへと幸せを運んでくることでしょう。
2014年 11月28日
都心の銀杏も色づきはじめ、
朝晩と冷え込む時節となりました。
日暮れも早くなり
何もかもが
静かに落ち着きを取り戻していく
これからの季節には
心も身体もゆったりと休めたいものですね♥
今回は、幸せな眠りのために
心地よく香るフレグランスピローをつくりましょう。
まぶたの上に乗せて
「羊さんが一匹、羊さんが二匹・・・・・」
と魔法の呪文を唱えると
深い眠りの世界へと導かれていくことでしょう♥
左の長いものはダブルガーゼの羊さんプリントでつくった
「のせるだけアイピロー」です。
中にはフラックスシード(亜麻の実)に
清らかな香りのラベンダーと
暖かい芳香のオールスパイス
さらにサマーセーボリーやマジョラムなど
メディカルな効能のハーブをミックスしました。
フラックスシードの心地よい重さが
眼のツボを優しく刺激し筋肉をほぐしてくれることでしょう。
また、お揃いの布地を用いて
今流行りの小豆カイロを作りましょう。
体を温めることは体調を整える基本。
電子レンジに30秒ほどかけ
肩やおへその下など気になる部分に乗せてください。
小豆に含まれる水分が
患部をジワーと蒸気で温め、身体の深部までとどきます。
小さいながらも大活躍の小豆カイロ。
どうぞ、愛らしいハートのミニパットで
癒されてください。
2014年 11月 3日
美しき文様
それでは次に、
果たして色彩や文様はどの段階で加えられるのでしょうか。
その方法は大きく別けて3種類に分類されています。
一、「先染め」・・・あらかじめ染めた色糸をもちいて織る方法
二、「後染め」・・・織り上げた布に色や模様をつける方法
三、「加飾方法」・・・美しさを更に際立たせるために施すこと
三番目の「加飾方法」には、
刺繍・アップリケ・描絵(絵を描く)・摺箔(金箔を貼る)
などの方法があります。
国宝「天寿国曼荼羅繍帳」奈良県・中宮寺
(てんじゅこくまんだらしゅうちょう)
奈良の中宮寺には、
飛鳥時代(622年)に制作された”繍仏(しゅうぶつ)”
が保存されています。
繍仏とは、
刺繍で仏像や仏教的主題を表し荘厳するもので、
その起源はインドにあり日本に伝わりました。
日本最古といわれる「天寿国曼荼羅繍帳」は、
聖徳太子の妃が太子の死を悼み、
せめて太子のおられる天寿国(西方にあるという極楽浄土の国)
のありさまを見たいという願いから、
宮中の采女らの手によって刺繍されたものなのです。
制作当時は、縦2メートル横4メートルの帳(とばり)を
二枚横につなげ寺の柱に幕のように張ったと伝えられますが、
現在残るのはその断片のみでつなぎ合わせ額装されています。
本歌は当時を知る貴重な遺物
として国宝に指定され奈良国立博物館に寄託されていますが、
レプリカが中宮寺に飾られていますので
ぜひご覧下さい。
レプリカとはいえ一針一針縫い目を拾って描かれたその精緻な刺繍を見ると、
太子を亡くされた妃の悲しい思いが伝わり
心が揺さぶられることでしょう。
私は今まで世界の人々の祈りの場である
神社・仏教寺院・聖教会・イスラムモスクなどを訪れてきました。
建物の中に足を踏み入れると
不思議と心がたかまりるのを感じます。
そしてそこで祈る人々を眺めることで
一瞬にして彼ら異国の人々の生きてきた背景に触れる事になるのです。
メキシコの教会では、このようなことがありました。
壁面に飾られたマリア像に手を合わせ
ボロボロと涙を流しながら大きな声で訴え、叫ぶ男性がいるのです。
あまりの光景に
私はつい立ち止まり凝視してしまいましたが
不思議なことに周りにいる人びとは誰も彼に注目せず
彼もまた、祈りが終わると何事もなかったかのように
立ち去っていったのです。
国が違えば宗教が違い、生きる環境が違い、そして考え方も違います。
でも、祈るという行為に生まれる美しさ尊さは変わらないのです。
この世で一番清らかなのは人々の祈る姿
ではないかなといつも感じています。
「天寿国曼荼羅繍帳」は、后の祈りとともに制作されたもの
ゆえにその思いが伝わり時を経てもなを
言い知れぬ感慨をひとびとへ与えるのでしょう。
最後に、
このようにシルクロードを経てもたらされた
色鮮やかで美しい品々は、
生涯訪れることのない遥か遠い異国への憧れをふくらませるものでした。
飛鳥奈良時代の貴族は、
民族も宗教も全く違う人々の手で生み出された
これら大陸の雄大な染織文化を積極的にとりいれました。
そしてそれを引き継ぐ平安貴族たちによって、
日本人の好みにあった優しい色合いの
上品で優雅な和風文様が生み出されていったのです。
日本を代表する染織史家であり
正倉院裂の復元などを精力的におこなっている
吉岡幸雄さんの言葉から、
千二百年前の染織物がどれほどに素晴らしいものかをお伝えしておきましょう。
「・・・正倉院の染織を頂点に、技術は手抜きの歴史なのです・・・」
人類は進み成長を続けていると思ってはいけません。
古代の人々が道具も機械も不十分ななか作り上げたものを
私たちは再現することができないのです。
文明の発達とともになくしてしまった
視覚・聴覚・触覚・そして臭覚などの鋭く純粋な機能は
どれほどまでに、素晴らしいものだったのでしょうか・・・。