日本の香りと室礼

目次

その弐「くゆらす」

祝いの練香 「結梅(むすびうめ)」

春の訪れとともに清らかな香りをはなち開花した梅の花も、
やがて小さな青い実を結びます。
今回は初夏の茶会にむけて人々の良きご縁の積み重ねを祈願し
「結び梅(むすびうめ」」と命名した練り香をつくりましょう。

沈香・白檀・桂皮など七種の微粉末にした香料と
ていねいに裏ごしした梅の果肉を合わせ蜜を加えて練り上げます。

薄皮をとり裏ごしした梅の果肉薄皮をとり裏ごしした梅の果肉

その香りはしっとりと低く流れ漂う練香の、
生ものゆえの雅な芳香に梅の爽やかさが加味され、
この季節にふさわしいものとなりました。

平安時代の貴族たちは練香の基本の処方に
微妙な匙加減をくわえて独自の香作りにはげみました。
移りゆく季節をとらえるため、
梅の花のわずかなシベを集めてみたり、梅の香のうつった雪を足してみたり、
また梅干の果肉をていねいに漉して加えるなどして
季節の趣を香へとうつし、その風雅を楽しんでいたのです。

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