日本と香り

目次

その四「清める」

「鼻煙壺(びえんこ)の塗香入れ」

乾隆(けんりゅう)ガラス 鼻煙壺  八×五cm
乾隆(けんりゅう)ガラス 鼻煙壺  八×五cm
乾隆ガラスとは、中国清王朝の乾隆帝の時代に最高潮に達したとされるガラス器。下地の半透明のガラスの上に緑,赤,黄などの色ガラスを厚く被せ様々な文様を浮き彫りしたもの。フランスのガラス工芸家エミール・ガレも乾隆ガラスに影響を受けたといわれています。この鼻煙壺は、緑のガラスの上に黒の色ガラスを被せ梅竹紋様に鳥や蝶を彫り上げた逸品。

お香屋さんにいくと紫檀や黒檀・桜の木などで作られた
伝統的な円形の塗香入れを見かけることでしょう。
塗香とは、手や身体に香をすり込んで
穢れをはらい清めるためのパウダー状のお香のことを指します。

「紫檀製塗香入れ」「紫檀製塗香入れ」

香の使用が始まったとされる酷暑の国インドでは、
油に白檀のペーストや香る材をいれた香油をつくり
頭痛や発熱のおりに額や身体に塗って熱苦を取り去り
清涼感を得る風習がありました。
なかでも白檀は非常に高い殺菌力をもち、
皮膚を浄化して毒を消す力が秘められているといわれ、
塗香の主原料にもなっています。

私は常々、好みの塗香入れを探してきましたが、
今回硝子の鼻煙壺に出会ったことで
皆さんと一緒に塗香の調合をと思い立ちました。
塗香は神仏や自分の心と向き合うときに使うもの、
故にくだけすぎずまた長く愛用できるものを求めていたのです。

インドで誕生した仏教が日本へとたどり着く道筋となった国、
中国の美しい鼻煙壺を器とし、
それぞれの感性をいかしたご自分だけの塗香を調合してみましょう。

【塗香の調合】
沈香微粉末 小さじ 1
白檀微粉末 小さじ 1
丁子微粉末 小さじ 半分
桂皮微粉末 小さじ 半分
ウコン微粉末 少々
龍脳微粉末 少々
甘松微粉末 少々
安息香微粉末 少々

塗香にもちいる香料は、
最も細かくパウダー状に粉砕されたものを使います。
お焼香の種類の中で五種類の香料を調合したものを「五種香」といいますが、
今回はその原料となる、
沈香・白檀・丁子・ウコン・龍脳の五種を基本に調合してみました。

甘く温かい香りが好きな方、
スーと品のある香りがお好みの方、
すこし苦みばしったキリッとする香りのほうが良い方
どうぞお好みで分量を調節し貴方だけの塗香を調合してください。

堆朱 鼻煙壺 六×四cm
堆朱 鼻煙壺 六×四cm
堆朱(ついしゅ)とは、素地の表面に漆を数十回以上塗り重ねて層を作り乾燥後これに文様を彫刻したもの。中国では剔紅(てっこう)という宋代以降盛行した中国漆器の代表的技法で、日本には鎌倉時代に伝来し室町時代以降に制作が始まったとされます。当品は、壺全面に吉祥紋である桃樹が見事に彫りだされています。
↑このページの一番上へ